2005年 12月 24日
「サンタクロースっているんでしょうか?」 1977年12月初版 1刷 1985年12月初版 41刷 1986年10月改訂版 1刷 2004年10月改訂版95刷 訳者 中村妙子/画家 東逸子 発行所:偕成社 あとがき 「サンタクロースって、いるんでしょうか?」 これは、今からほぼ百年も前に、アメリカの『ニューヨーク・サン』新聞にのった社説です。いまでは古典のようになって、クリスマスの時期が近づくと、アメリカのあちこちの新聞や雑誌にくり返し掲載されるということです。 これを書いたのは、フランシス=P=チャーチ(1839~1906年)という同社の記者でした。この人について、当時の編集長は、回想録に、「人間生活のあらゆる面について、ふかい洞察力とするどい感受性をそなえた人物だった。」と書いています。まやかしや不正をどこまでも追求する記者魂とともに、ゆたかな想像力と暖かい同情心をそなえていたようです。 ある日編集長はチャーチに、幼い筆跡で書かれた一通の手紙をわたして、この子への返事を社説に書いてみないかといいました。8歳の子供への手紙を社説に? チャーチは、はじめぶつぶついいましたが、やがて机に向かって書き上げたのが、これだったのです。 バージニアのお父さんは、警察関係のコンサルタントもつとめる外科医でした。たぶん小さな娘の率直な質問にたじたじとして、「サン新聞にきいてごらん。」といったんでしょうね。 成長したバージニアは教職につき、引退する前の三年間は、ブルックリンの公立学校の副校長をつとめました。この学校は、長期にわたって入院生活を送っている子供たちのための学校でした。 バージニアが1971年に81歳で亡くなったとき、『ニューヨーク・タイムズ』は「サンタの友だちバージニア」という見出しで彼女に一文を捧げ、「アメリカのジャーナリズムにおいて、もっとも有名な社説が書かれるきっかけとなった、かつての少女」と記してその死をいたんでいます。 21世紀の今日、物質文明が目覚しい発展をとげているいっぽう、東西南北どこの国、それぞれむずかしい問題をかかえているいま、日本の子どもたちに、またバージニアと同じに かつては確かに子どもであったおとなの方がたに、装いをあらためたこの本をお届けしたいと思います。:中村 妙子 1897年9月21日 ニューヨーク・サン新聞「社説」 ニューヨーク・サン新聞に、このたび、つぎのような手紙がとどきました。さっそく社説でとりあげて、おへんじしたいとおもいます。 この手紙をさしだした人が、こんなに大切なしつもんをするほど、わたしたちを信頼してくださったことを、記者いちどう、たいへんうれしくおもっております。 きしゃさま バージニア、おこたえします。サンタクロースなんていないんだという、あなたのお友だちはまちがっています。 きっと、その子の心には、いまはやりの、なんでもうたがってかかる、うたぐりやこんじょうというものが、しみこんでいるのでしょう。 うたぐりやは、目にみえるものしか信じません。 うたぐりやは、心のせまい人たちです。心がせまいために、よくわからないことが、たくさんあるのです。それなのに、じぶんのわからないことは、みんなうそだときめているのです。 けれども、人間が頭で考えられることなんて、おとなのばあいでも、子どものばあいでも、もともとたいそうかぎられているものなんですよ。 わたしたちのすんでいる、このかぎりなくひろい宇宙では、人間のちえは、1ぴきの虫のように、そう、それこそありのように、ちいさいのです。 そのひろく、またふかい世界をおしはかるには、世の中のことをすべてりかいし、すべてをしることのできるような、大きな、ふかいちえがひつようなのです。 そうです、バージニア。サンタクロースがいるというのは、けっしてうそではありません。この世の中に、愛や、人へのおもいやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです。 あなたにも、わかっているでしょう。--世界にみちあふれている愛やまごころこそ、あなたのまいにちの生活を、うつくしく、たのしくしているものなのだということを。もしもサンタクロースがいなかったら、この世の中は、どんなにくらく、さびしいことでしょう! あなたのようなかわいらしい子どものいない世界がかんがえられないのとおなじように、サンタクロースのいない世界なんて、そうぞうもできません。 サンタクロースがいなければ、人生のくるしみをやわらげてくれる、子どもらしい信頼も、詩も、ロマンスも、なくなってしまうでしょうし、わたしたち人間のあじわうよろこびは、ただ目に見えるもの、手でさわるもの、かんじるものだけになってしまうでしょう。 また、子どもじだいに世界にみちあふれている光も、きえてしまうことでしょう。 サンタクロースがいない、ですって! サンタクロースが信じられないというのは、妖精が信じられないのとおなじです。 ためしに、クリスマス・イブに、パパにたのんで たんてい をやとって、ニューヨークじゅうのエントツをみはってもらったらどうでしょうか? ひょっとすると、サンタクロースを、つかまえることができるかもしれませんよ。 しかし、たとい、エントツからおりてくるサンタクロースのすがたがみえないとしても、それがなんのしょうこになるのです? サンタクロースをみた人はいません。けれども、それは、サンタクロースがいないというしょうめいにはならないのです。 この世界でいちばんたしかなこと、それは、子どもの目にも、おとなの目にも、みえないものなのですから。 バージニア、あなたは、妖精がしばふでおどっているのをみたことがありますか?もちろん、ないでしょう。だからといって、妖精なんて、ありもしないでたらめだなんてことにはなりません。 この世の中にあるみえないもの、みることができないものが、なにからなにまで、人があたまのなかでつくりだし、そうぞうしたものだなどということは、けっしてないのです。 あかちゃんのガラガラをぶんかいして、どうして音がでるのか、なかのしくみをしらべてみることはできます。けれども、目にみえない世界をおおいかくしているまくは、どんな力のつよい人にも、いいえ、世界じゅうの力もちがよってたかっても、ひきさくことはできません。 ただ、信頼と、想像力と、詩と愛とロマンスだけが、そのカーテンをいっときひきのけて、まくのむこうの、たとえようもなくうつくしく、かがやかしいものを、みせてくれるのです。 そのようにうつくしく、かがやかしいもの、それは、人間のつくったでたらめでしょうか? いいえ、バージニア、それほどたしかな、それほどかわらないものは、この世には、ほかにないのですよ。 サンタクロースがいない、ですって? とんでもない! うれしいことに、サンタクロースはちゃんといます。それどころか、いつまでもしなないでしょう。 1千年のちまでも、百万年のちまでも、サンタクロースは、子どもたちの心を、いまとかわらず、よろこばせてくれるでしょう。
by sadomago
| 2005-12-24 23:59
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